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[US: Cook, 1956年] LP
オーディオ・エンジニアのエモリー・クックが50年代に興した、ジャズ/民俗音楽/現代音楽という独特のセレクションと、頑なな音響哲学を持ったレーベル、クック・ラボラトリーズ(Cook Laboratories)。クックといえばダミーヘッドを用いた「バイノーラル録音」をいち早く実用化し商業ベースにのせた功績(同社の録音は多くがそう)も伝説的ですが、これはクックのフィールド録音シリーズ<Road Recordiongs>から、メキシコの先住民族が多く住む高地の都市オハアカにいた盲目の吟遊詩人、アロンゾ・クルーズのギター弾き語りを現地録音したもの。日本で盲目の(旅)芸人といえば瞽女や高橋竹山に代表される叩きつけるような激しい三味線、おどろおどろしい声を想像しますが、クルーズはそれと真反対の滑らかなテノール美声、「Romantic Voice」と副題にあるようなソフトで甘い声色でうっとり魅了される衝撃的なパフォーマンス。アメリカ音楽のブルースも含め、盲目芸人=不幸=魂の演奏という固定した連想からすればある意味でカルチャーショック体験、この素晴らしいアルバムをぜひお手元に!これは後期製造のセカンド黄レーベル盤で、音の定位の感じからして恐らくバイノーラル録音か?
ディスク VG+:薄くスレとたまにプチ音。
ジャケット NM:COOKの黒いカンパニージャケット、シュリンク残り、インサート封入(経年褪色、折れ一ヶ所)。