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Yoshi Wada『The Appointed Cloud』[US: Saltern SLT-006, 2021年] LP
【祝!ヨシ・ワダLPデッドストック入荷 プチ特集】
もうどこにも売っていない米Salternの2021年の初LP化の未開封新品。全長60分という作品を1枚もののLPにした驚きの仕様(普通は工場がやってくれない)。よくもまあできたもんだ。。
2008年にエム・レコードとOmega Point共同プロジェクトとして初音盤化(CD)した1987年録音の『The Appointed Cloud』は、生前、ヨシ・ワダ自身が<代表作>と明言していた一大音絵巻大傑作。これを彼の息子Tashi Wadaが自身のレーベル Salternで初LP化したのが本盤である。しかしこれが2021年の思いがけないヨシ・ワダの逝去にともない追悼リリースの体裁になったのは運命というほかない。しかもその死を弔うのがこのワダの代表作だとは!
『The Appointed Cloud』は、60年代末、単身米にわたり、なみなみならぬ辛抱強さで音楽をやってきたワダの、ひとつの到達となった1987年開催のインスタレーション展示において、初日に行われたエピックなオープニング演奏の全貌を記録したものだ。
内容は、バグパイク等を元にしたワダのシンボリックな一連の改造楽器を用いたドローン演奏、ミニマリズム・反復音楽の手法、当時ニューテックであったコンピュータ制御の自動演奏、これらをクセナキスを思わせる図形楽譜に指定し、ワダと彼の友人達が演奏したもの。ワダが60年代末から探求した音楽の集大成というにふさわしい<ヨシワダのジャンク交響曲>というべき作品だ。60分ジャストの時間内で濃密に変化する音の洪水はもう圧巻というほかない。
さきに触れたように、本作は60分の演奏で、通常12インチLPに収録できるはずのないものを、DMMでカッティング(33分/27分)を行ない成功した点で驚異的。ラモンテ・ヤングには片面39分という無茶苦茶なLPがあるが、あちらは音情報が少ない音源ゆえの成功例で『The Appointed Cloud』とは比較にならない。
=作品仕様=
+ ライナー付き(英語解説、図形楽譜、貴重な未公開写真を掲載)
+ シュリンク封入
TRACKS:
The Appointed Cloud
Side 1 (33:36)
Side 2 (27:00)