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banana『8』[ Japan: Self-produced / cold dog press 07, 2025年 ] CD-R
着実に秀作をものにしているハードウェア・フェチ電気音楽家bananaの2025年新作入荷。これまでリリースはスリムケースばかりでしたが特注で通常プラケース(背幅10mm)にしてもらったエムのみのジュエルケース・エディション!これで「作品」感がグッと増すのだから不思議、容器は重要、棚入れアーカイブにも最適です。
展示用音源を別にすれば、リリース目的で8枚目に作ったCD-Rなので『8』。『8』なので8曲収録。90年代の(今に思えば)怪しい無記名性CDの群れとその存在感に影響され、積極的な匿名性を標榜するバナナ、本作でも作者名と年代詳細が故意に隠蔽された怪しいCD-Rになっており、将来、中古で出会った際に不気味な自主盤となるべく操作されている。
『8』収録作は最初期DAWミニマル・ストレンジ変態ゲーム音楽(?)というような意味不明の内容。その音源は、古いMACのDTM音源・ソフト「ミュージ郎」の音源モジュールからディスプレイを抜いたRoland SC-88ST(実機)とMAC OS 7(!)で動く分厚いノートPC(実機)を用い、シンセとキーボードに付属しているリズムボックスやシンセの手弾きの組み合わせで作られている。自然界アコースティックでは得られない極めて「デジタル」なサウンドは、2020年代の今、パワフルなものとして最前線に償還。このように、マルチメディアと初期インターネットが神的な位置を占めていた90年代半ばの制作環境の手の込んだ再構築を試みていますが、演奏される音楽形式は避け難く現代の洗礼を受けており、その年代のズレが作用して『8』をスペシャルな内容にしていると思われます。時がわからなくなります。
=作品仕様=
+ 通常ジュエルケース
+ ペラ2Pインサート、バックインレイ封入
+ CD-R盤面にステッカーと手書き文字
TRACKS:
写真参照のこと