寒川晶子『空のむこう 武井武雄に捧ぐ』[Japan: Saund Aris Records SAR-240017, 2024年] CD
宮沢賢治のファンにもお薦めしたい素晴らしいピアノ作品!童話の添え物として軽視されていた子供向けの絵を「童画」と命名し芸術の域にまで高めた画家で作家、武井武雄(1894-1983)の生誕130年を記念し制作されたCD。本作をプロデュースした寒川さんのご厚意で取り扱いできました。
このアルバムは武井の書いた詩から着想を得て作曲され、2015年にイルフ童画館で行なわれた「夏の終わりに」と題したコンサートで演奏した音楽をまとめたもの。寒川晶子は自身で「ド音ピアノ」と命名する全ての鍵盤をCに調律した特殊ピアノの演奏で知られる実験音楽家でもあるが、本作では通常のピアノを弾き、曲調は調性のあるものがほとんどで、そこに幾つかのトイ楽器を重ねて録音し、武井の童画と詩の世界とのコラボレーションを図っている。その采配演出で、クラシック・ピアノでもなく、かつてのウィンダムヒル/ニューエイジ系ピアノ作品とも隔絶した独特の豊かさ好奇心に満ちたアルバムとなっている。またある種の舞台音楽ともいえそうな作品でもある。CDには上山りのんを迎えた歌作品「誕生」と「響紡ぎ織」をボーナス追加し、後者ではド音ピアノと織機音がコラージュされている。
美しい装丁画は表題になった武井の1964年の作品「空のむこう」。
作品仕様
+デジパック
+12頁ブックレット封入
TRACKS:
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SAMPLE 1
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SAMPLE 2
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SAMPLE 3
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SAMPLE 4