隠れファンも多いらしいアルヴォ・ペルト誕生90年を祝って小特集!
ペルト90歳を祝う地元エストニアの後援組織アルヴォ・ペルト・センターよりペルト関連の珍しい作品を入手。恐らく日本未入荷品(?)で、同時に横つながりでエストニアの別レーベルより秀逸なコンピレーションも入手し併せてお届けします。世界的な作曲家である彼の荘厳なECM諸作は大手量販店で入手して頂くとして、こちらはペルト年表にあまり顔を出さないコマーシャルワークと音楽教育家としての活動が焦点。(なお、激高VATの容赦ない徴収と高額な運賃のため、普通に個人購入すれば表示価格の約2倍以上!)
V.A『Anima POP: Music from Estonian Animations 1965-1986』[Estonia: Raadio Kohila Records, 2023年] LP
MUST!!
エルバート・トゥガノフ(1920-2007)という作家が率いたエストニアの国営アニメーションスタジオで、1965年から1986年に制作されたアニメ作品の挿入音楽をコンパイルした画期的なコンピレーション。本作は、同国の子供向けアニメが東西冷戦下、社会主義ソビエトでいう「西側の堕落した」音楽を大っぴらに開示できる逃げ場であったことを暴き出し、彼の地の若手作曲家・音楽家が、表向きでは演奏困難な音楽を実験していた姿は、我々に新鮮な感銘を与えてくれます!
無名時代のアルヴォ・ペルト(1965-1966年)、エストニアを代表する音楽家レイン・ラナップ(1970年代半ば)、熱心な仏教徒でシンセ奏者スヴェン・グリュンベルク(1970年代後半)、「エストニアのバート・バカラック」ことオラフ・エハラ(1980年代)、サイケデリックなトゥヌ・アーレ(1970年代後半)、本邦リリースもあるらしいジャズ・ピアニスト、トゥヌ・ナイスー(1980年代)による、17のアニメ作品に対応する17曲を収録。ツイスト、ラテン、ジャズ、フュージョン、プログレッシブ/サイケデリック・ロック、電子音楽、ドラムマシンブギーまで広範囲で、アルヴォ・ペルトのまさかのロックンロール(!)に始まるかと思えば、ラナップはモーツァルト「トルコ行進曲」のフレーズを気持ち悪く移調したストレンジ・チューンを展開、素地に染み込んだクラシック音楽から逸脱しようと試みたなり損ないサイケデリック・ミュージックなどなど奇妙な作品ばかり。全音源が初音盤化で、豊富な画像と簡潔な解説(英語版あり)も資料として重要。この素晴らしい仕事をぜひ貴方のコレクションに!