スクパッチ『ライト・ヒッツ』[US: Concentric Circles CC-010, 2025年] LP
Industrial Sponge、Shizuka、Sternpost等、激レアなカセットテープ音源をLP化することに血道を上げる米オレゴンのレーベル、Concentric Circlesより新作2タイトル同時入荷。どちらもMUST!!
90年代中期日本のインディーポップ輸入盤ショップのバイヤー達の間で評価の高かったサックパッチ(と呼ばれていた)の、こんなのがあったのか!という知られざる1992年カセットリリース。スクパッチは、BECKが流行らせたインディーロックにヒップホップ調のブレイクビーツを導入するサウンドを人知れず展開し、90年代中期に注目され、その後ビースティーボーイズのGrand Royalと契約するのですが、それらのサンプリング手法を実験模索していた時期の本作は、ローファイ・ベッドルーム・ポップのパイオニアというに相応しいウルトラチープな宝物。サンプリングとは言いつつDAWなどあるはずもない環境で制作したD.I.Yむき出しの作品で、60年代ポップスの言語が盛り込んであるため、クールなノイズ〜インダストリアル方向に引っ張られていないのもポイント◎!
=以下、日本輸入元の公式コメント=
90年代初頭、アメリカのLo-Fiシーンで静かに輝きを放っていたグループ、Sukpatchが1992年に残した激レア・カセット作品『Lite Hits』が、米ポートランドのレーベル・Concentric Circlesより待望のLP化!
彼らは各地に散らばる仲間たちとカセットテープを郵送し合いながら、音を重ねていくという、ユニークな手法で楽曲を制作していました。
当初は素朴な手作り感に満ちていたサウンドも、楽器や機材の扱いに慣れるにつれて徐々に洗練されていき、やがてGrand Royalを彷彿とさせる、気怠くもキャッチーなブレイクビーツ・ポップへと変化していきます。
しかし、この『Lite Hits』には、そんな後期作品には見られなかった、言葉にできない儚さと荒削りな魅力が詰まっています。
ざらついたテープの質感、耳に残るメロディ。ギターを軸にした控えめなインディー・ポップに、サンプリングやラジオ電波の混線、テープ・ループが重なり合う、天然ローファイの真骨頂とも言える作品です。
また、このアルバムでしか聴くことのできないTaraのボーカルも、大きな聴きどころのひとつ。彼女の甘くキュートな歌声は、テープを半速で録音し、ミックス時にスピードアップするという独自の手法によって生まれ、アルバム全体に魔法のような魅力を与えています。
Land of the LoopsやThe Ah Clubを思わせるブレイクビーツ・ポップに、Azalia Snailのサイケデリアをほんのりと溶け込ませたような、淡くノスタルジックな空気感。
まさに、ローファイ・インディの秘宝と呼ぶにふさわしい一枚です。