Tokio Hasegawa『Stone Music』LP [Japan: Experimental Rooms, 2021]
タージマハル旅行団の元メンバー、長谷川時夫の長いキャリアで初となるソロLPは、他の追随を許さない(追随できそうもない)彼のコスモロジー・ミュージック絵巻。
小杉武久、永井清治らと1969年に結成したタージマハル旅行団で日本の伝統楽器を演奏していた長谷川は、当時から石を打つ演奏をしていた。「ひたすら石になり切って、しかも持ち上げた時に全ての風を感じて、そして落とす。宇宙にいるという実感を持って落とす」という彼の志す石の演奏は、土取利行ほかで知られるサヌカイトのような音響的なものを主体にせず、「宇宙に住む己を感応する為の行」という性質をもつ。
本アルバムはそうした彼の「Stone Music」を、近年、インド、台湾、新潟でリアリゼーションした記録で、アフガニスタンの弦楽器ルバーブの弾き語り、鍵盤、バイオリン、パーカッション(和太鼓)、笛、電子音、その他の非楽器音と舞踏を入れた総合的な表現、それらが共鳴しあった物語だが、全ては長谷川のコスモロジー観念の一部である<石の演奏>が中核にあってのものだと解釈できる(ゆえに題名は「ストーン・ミュージック」)。タージマハル旅行団の同志、永井清治との45年ぶりの演奏は歴史的と言ってよい静かな興奮をよぶ。なお、長谷川は月の姿の美しい所(彼の言葉でいう「宇宙の森」)をもとめ、70年代に東京から移住した新潟の山あいでインド美術専門のミティラー美術館を私設運営しているが、本LPはその地元の新興レーベル、Experimental Roomsの快挙だ。
※長谷川氏のご好意でミティラー美術館の展覧会のパンフレットをご注文につき1部無料で差し上げます。
=作品仕様=
+ 限定300部/シュリンク封入
+ ライナーノート:川崎弘二(電子音楽研究)
+ 装丁写真:吉原悠博(吉原写真館)
TRACKS:
A1. Stone Music at Manipur Sangai Festival in India (2019)
B1. Stone Music at Chiang Kai-shek Memorial Hall in Taiwan (2018)
B2. Stone Music at Ryutopia Niigata City Performing Arts Center in Japan (2021)
試聴はこちら:
https://soundcloud.com/experimentalrooms/sets/tokio-hasegawa-stone-music/s-DsRJjvNFAuY