ノア・クレシェフスキー『ハイパーリアリスト・ミュージック, 2011-2015』EM1140CD
ロングセラー『The Tape Music of Noah Creshevsky』(EM1042CD 解説:佐々木敦)からひと回りしてエム再登場。クレシェフスキーがキャリア後半に専心した“ハイパーリアル・ミュージック”の自選作品集。
クレシェフスキーはナディア・ブーランジェとルチアーノ・ベリオに学んだ作曲家で、初期は電子音楽/テープ音楽をやっていたが、徐々に「ハイパーリアリズム(*注)」に接近し、その概念を取り込んだ音楽である「ハイパーリアル・ミュージック」の第一人者となった(この音楽スタイルの創始者とされる)。日本では竹村延和氏のフェイバリット作家としても一部に知られる。
彼のハイパーリアル・ミュージックは、実際のライブ演奏に聞こえるが全て人工的な操作・配置で創作されたものである。そこでは人間による生楽器や肉声の演奏が素材となり、シンセサイザー(合成音)は用いられない。録音年、ジャンルを異にする楽音がいち作品中で任意に結合され、あるものは人間技では不可能な演奏に変容され、ある音は過剰に強弱・長短のアクセントがつけられる等々、彼の意匠をこらしたドラマ性とユーモアが加味されている。
本アルバムは近年の作品を作家が自選したもので、鋭敏なリスナーならば、聞き進めるにつれて姿を現す、狐につままれたような世界に惑わされること必至。
*注:写真等を用いて対象を克明に描写する美術の潮流。「超現実主義」と和訳されるシュルレアリスムとは区別される。スーパーリアリズムともいう。
+ 解説:George Grella, Jr.(和訳付)
+ 通常ジュエルケース、ライナー封入
TRACKS:
1. Pulp Fiction (2014)
2. Tomomi Adachi Redux I (2011)
3. Quaestio (2014)
4. Orchestral Variations (2013)
5. Full Fathom Five (2011)
6. La Valse (2013)
7. You Are Here (2015)