Fast Forward『The Caffeine Effect』[Germany: Ear-Rational, 1988年] LP
1988年ソロ名義LPのデッドストック品。ジャケットは経年擦れコスレ、僅かなシワと折れがあります。ディスクは未使用とのことですが、微かに紙擦れあり、しかし音には出ません。ご理解の上ご購入下さい。
90年代初頭、小杉武久とのデュオで神戸ジーベック・ホールに出演経歴もある米拠点のアーティスト、ファスト・フォワード(本名ポール・ウィルソン)唯一のLPリリースとなる1988年独Ear-Rational盤。
英国生まれで70年代にカリフォルニアに移住し、ミルズ・カレッジでロバート・アシュリーとデイヴィッド・バーマンに師事したフォワードは、いわゆる「アメリカ実験音楽」スクールの一派といえます。彼はスティールパンを使う諸作で知られおり、クラシックの伝統的な楽器を使わない作曲は、アメリカ実験音楽の顕著な特徴のひとつです。「フォワードは、ライヒの甘美な反復、ブランカの生々しいデシベルのパワー、ケージとウォルフのランダム性、そしてクセナキスの確率的なテクスチャーを融合させた最初の音楽家だ。それは抗いがたい勢いで展開される強力な組み合わせである」(カイル・ガン/ヴィレッジ・ヴォイス)と評され、ガンの唱えたトータリズムを体現した作曲家の一人です。
本作『The Caffeine Effect』は、彼のトレードマークであるスティールパンをリード楽器に、缶、鍋、自動車のハブのキャップ、銅パイプ、アンプ増幅されたベッドのバネ(スプリング)など日用品やジャンク品を組み合わせ、ポスト・ミニマルミュージックを更に発展させたトータリズム作品で、欧州アカデミック勢とは完全に相入れない、異種楽器のハイブリッドによる音色の拡張を図った作品。しかしZ'EVのように即興ジャンクメタルに走るわけではなく、多軸的なリズム構造も実験しています。また、生活の中での音楽=生活と音楽が密着している点でもアメリカ実験音楽の伝統をつぐもので、米国外の支援で作品を発表した点もアメリカ実験音楽勢の当時の典型。『カフェイン効果』という題名とキッチュなアートワークも作品内容と連動しているようです。